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2022-03-08 []裁判書面は最終版を弁護士からもらっていますか?
ほかの弁護士が担当していた事件を、途中から弁護士切替で受任することがあります。
今までの裁判書面を担当弁護士や依頼者から引き継ぐことがあるのですが、主張書面や証拠で抜けや漏れがあることもあります。
裁判所に謄写手続きをすることで、今まで裁判所に提出されたものについては共有が可能なのですが、裁判所に提出したもの以外の資料も共有するために、前任の弁護士や依頼者に協力をお願いすることがあります。
いつも気づくのが、主張書面はあるものの、裁判所に提出したものかどうかがわからないことです。主張書面に弁護士の職印が押されていないのです。
依頼者が書面の整理をきちんとできていないことはやむを得ません。
しかしひどいケースになると、弁護士がファイルに綴じている主張書面にも、職印が押されていないことがあります。
裁判所には職印を押印したものを提出しているはずなので、担当弁護士すらも、裁判所に提出したものの写しを綴っていないことになります。

やり取りの流れ

裁判書面は一般的に、弁護士が最初に裁判書面を作成し、依頼者に確認してもらいます。
依頼者に事実確認や主張の流れについて決済をもらったうえで、最終版として裁判所に提出します。
最終版になるまでに、何回かのやり取りが往復されますが、メールにワードデータを添付して、依頼者にみてもらうケースが多いでしょう。
その中で裁判書面が修正されて、最終版になります。


若干の修正しかなかったとしても、その微妙な言い回しや助詞の違いにこだわって修正をしたわけですから、どの書面が最終版なのかをしっかりと整理することは大切です。
後々に、以前の提出書面を引用したり、以前の主張を踏まえてさらなる主張を展開する際に、矛盾が生じては大変なことになってしまうかもしれません。

依頼者の決済によって最終版を送ったことにする弁護士が多い

裁判所に提出した職印が押印されている最終版が、弁護士や依頼者のファイルになぜ綴られていないのでしょうか。
裁判書面は依頼者の決済があって初めて完成となります。
その後、職印を押印し裁判所へ提出したものが書面の最終版となるのですが、その最終版を依頼者へ報告してしないのが原因だと考えられます。
内容に変わりはなく、職印の有無の違いしかないため、依頼者へ再送する必要はないと判断しているのかもしれません。
ただし裁判書面は弁護士と依頼者との間で修正を繰り返すものです。最終的に時間がたつと、どれが最終版なのかがわからなくなってしまいます。

職印を押して提出したものはやはり共有すべき

いうまでもなく裁判書面の最終版は、弁護士と依頼者で共有し、双方が記録しておかなければなりません。
最終版が曖昧なままで裁判が進むと、裁判書面は複数提出するものですから、各裁判書面の主張内容に矛盾が生じますが、それだけではありません。
裁判書面の修正を繰り返しているうちに、主張するタイミングを考えて、書面の内容を大幅に削除することもあります。

未完成のものを最終版と取り違えて保管してしまうと、最後まで重要なポイントを主張せずに終わってしまうことにもなりかねません。
裁判において提出した最終版をしっかりと保管することは、裁判の勝敗を決する重要な基本なのです。

最終版を区別する方法はいくつかあります。
・最終版以外には「ドラフト」と透かしを入れる。
・依頼者には必ず裁判所面をPDFで送る(弁護士だけが編集をして未完成のバージョンの取り違えを防ぐ目的ですが、依頼者も積極的にデータに修正を加える場合には不向きです)。
一番確実なのは、職印を押して提出した最終版を、裁判所に提出した後に、PDFとして報告することです。
最終版の決済をとった直後に、同じ内容の書面を重ねて報告することになりますが、この愚直なルーティンこそが重要となります。

また依頼者と弁護士が、同じ訴訟ファイルを共有することも重要です。
訴訟ファイルは裁判の流れに沿った作成方法を頭に入れておくとわかりやすいでしょう 。
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